中国側から北朝鮮の茂山(ムサン)郡をのぞむ。奥に見えるのが北朝鮮最大の茂山鉱山。2010年7月撮影 (アジアプレス)

 

金総書記の誕生日の配給に注目
北朝鮮で年明けから、軍部隊や軍需工場、炭鉱など重要機関への食糧供給が大幅に悪化している中、旧正月に例年出されている住民への特別配給が出ていない模様だ。

北朝鮮北部の咸鏡北道に住む取材パートナー(男性30代)が、4日電話で伝えてきたところによると、旧正月にわずかだが出ていた特別配給が、今年は元旦に当たる3日になっても出ていないという。

「昨年は酒や菓子などが少量出ていたが、今年はゼロ。それどころか、人民班を通じて軍隊に食糧を献納せよという指示が出されている。他の地域の様子は分からないが似たようなものではないか」
と彼は述べた。

朝鮮労働党創建記念日の食糧品特別配給に並ぶ黄海南道海州(ヘジュ)市の住民たち。 2008年9月シム・ウィチョン撮影(アジアプレス)

 

今後注目されるのは、今月16日の金正日総書記の誕生日だ。例年「将軍様の配慮」として、コメや酒、菓子、文房具などが特別配給されてきたが、それが中止されるか大幅に減らされるということになると、金正日政権は相当に財政事情が悪いとみなすことができるだろう。

2日に通話した咸鏡北道茂山(ムサン)郡の20代の女性の取材協力者は
「16日の金正日の誕生祝いのために、講演会や学習会、『忠誠の歌』の練習に忙しい。インフルエンザが流行しているが病院に薬がなく市場で買わなければならない」
と伝えてきた。(石丸次郎)

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