◆ 健康被害
北朝鮮の炭鉱は、衛生環境も時代と共に悪化、健康被害への対策も劣化し続けているようである。炭鉱で一番問題になっているのは「炭塵を吸い続けて肺を患う『炭肺』(塵肺)という病気」だとキム記者もリ・サンボン氏も言う。順川地区炭鉱の現状をキム記者は次のように述べる。

「新昌炭鉱、直洞炭鉱では、労働者へのマスクの供給は昔はあったけれど、私が見る限り今はなくなってしまったと思う。テレビや新聞が来て写真を撮る時だけは付けさせている。市場でもマスクなんか売っていないので手作りのマスクを使う労働者を時々見かける。

「定期健康診断? そんなものはない。小さな病院があるが、薬草を煎じて出すぐらいだ。入院してもまともな食事が出せないので家族が準備しなければならない。長く掘進工をしていた友人が肺が悪くなって、ふーふーと息苦しそうにしているうちに、がりがりに痩せて死んでしまった。他の知り合いにも何人か死んだのがいる。「炭肺」になると栄養価の高いものを食べて酒を飲まないといけないと言われている。酒には肺に溜まった石炭の粉を洗い流す効果があるそうだ。

「風呂はあります。さすがに炭鉱労働は真黒になるから、男女別、そして職位別の浴室があってボイラーで湯を沸して供給している。職場や党の幹部たちの浴室は間仕切りがあって小綺麗だけれど、現場労働者の浴室は粗末きわまりない。浴槽の湯は真黒だし、間仕切りもシャワーもない。あなた(石丸のこと)はそこで体を洗えないと思う。汚くて」。
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