4 坑内労働
実際の坑内労働はどのようなものだったのだろう。キム記者がかつて働いていたのは坑外だったので、リ・サンボン氏の証言を記そう。
「游仙炭鉱の場合、深度は五八〇メートル、坑の長さは一八〇〇メートルあった。

まず徒歩で一〇〇メートルぐらい下ると、三〇人ほどが座れるベンチのある「人車場」という広い部屋がある。ここから中間駅まで「人車」に乗って三〇分くらい降りて行く。「人車」はワイヤーロープで外と繋がっていて電力で動かすんだ。

「人車場」には金日成の肖像画が掲げてあったな。そこから少し歩くと第二「人車場」があって、別の「人車」に乗り換えてさらに下る。ここからは電灯がなくなって真っ暗。明かりはキャップランプだけになる。「人車」を終点で降りると、天井が低くなり、後は坂道を這ったり屈んだりして一時間ほど進むと、その日の作業場に着く。

「ここで、まず掘進工が電気ドリルで発破を仕掛ける穴を開ける。発破が済むと採炭工が運びこんだ坑木で柱を立てて坑道を作り、ベルトコンベアーを設置する。後はつるはしとシャベルで掘りだしていく。坑道の中はとにかく地熱で蒸し暑くてねえ。
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