「恵山(ヘサン)市内には、パソコン専門の輸入業者が運営する専門店がある。また、国営百貨店やある程度の大きな規模の商店でも取り扱っている。多 くは一旦中国から平壌に入った後に恵山に運ばれて来るが、高いので買う人はあまりいない。中国から密輸してきたものを扱っている個人から買うケースが一番 多い。彼らは皆、パソコンに詳しく、修理もしてくれるしサービスもいい」。

これは中国との国境都市恵山ならではの事情だといえるかもしれない。平壌では実際に個人がパソコンをどのように購入するのか、ク・グァンホ記者が説明してくれた。

「西城(ソソン)区域にパソコン専門の問屋があるし、規模の大きいジャンマダン(市場)でも売っている。ただおおっぴらに売るのではなく、販売人は 手に『コンピュータ』と書いた紙を持っているだけ。客が来ると商品を保管してある倉庫まで連れて行き、そこで商品を見せ、購入という運びになる。値段は二 〇〇ドルの中古品から、一〇〇〇ドルの液晶画面の新品ノートパソコンまで色々だ。サムスン(SAMSUNG)やLGなど韓国ブランドのものもある」。

パソコンは中国からの輸入品であるため、本来は「収買商店」という中国製品を独占的に扱う店や国営百貨店などでのみ販売する規制があり、個人が取り 扱うのは違法であるが、貿易会社や個人旅行者が中国で仕入れてきた新品・中古品が、個人にどんどん流れていっている。通常、市場では韓国ブランドや韓国製 品の販売は禁じられているが、どうやらパソコンは例外のようである。

パソコンの関連部品や周辺機器も個人への販売は合法だ。USBメモリーやSDメモリーカードなどは簡単に手に入る(一二年になり登録制になったとの 未確認情報もある)。価格は中国の市場価格より少し高い程度。複写機やプリンターの所持には厳しい規制があるが、それについては後述する。

パソコンを個人がどれくらい所有しているのか、データがなくさっぱりわからないが、取材してきた実感としては、携帯電話より早く広まり始め、普及率 は携帯電話より少し多い程度ではないかと思う。携帯電話には実際に話ができ商売にも便利だというはっきりした利点があるが、インターネットにも繋がらない 北朝鮮では、パソコンは個人の用途が限られている。やはり生活水準に比して高価であるため、今後急速に普及が進むとは考えにくい。

(つづく)

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