◇「張成沢氏の意図は良かった」という世論が拡散か

取材協力者はさらに、張氏処刑に対する住民の反応をこう説明する。
「今回の張成沢の粛清を好ましく思っていない人々が多いです。そういう見方をする人々の多くは『張成沢の意図通りに「政変」が成功したならば、生活も良くなったろうに。資本主義を取り入れてでも、良い暮らしができればいいじゃないか』と話しています。(情勢の判断がつく)賢い人達は皆、そう言っていますよ。大きな声で言うと張成沢のように死んでしまうので、影で言い合っています。『(悪い張氏を)粛清して良かった』と話すのは何も分からない人たちだけです」。

張成沢を処刑したことについての反発や、張氏に対する同情心が感じられる言葉だ。
北朝鮮では現在、当局が張氏処刑事件を全面的に国民に公開し、社会に恐怖感を植えつけようとしているが、これまで見てきた通り住民の視線は厳しく、そうした試みは簡単には成功しないものと思われる。

張氏への肯定的な評価や同情は、長い間、指導者たちの暴政により悲惨な生活を強要されてきた北朝鮮の庶民たちの、本音の表れと見ることができるだろう。
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