◆アメリカ政府と米軍の望みどおりの逆転判決

1959年12月16日、田中最高裁長官は東京地裁の「伊達判決」を破棄して、差し戻すという判決主文を言い渡しました。

そして、判決のなかで、「米軍駐留は憲法9条に違反していない」という判断が示されました。

「米軍駐留は憲法9条違反」という「伊達判決」がくつがえされ、アメリカ政府とアメリカ軍の望みどおりの逆転判決が出されたのです。

その最高裁判決では、「米軍駐留は憲法9条に違反していない」のは、米軍に対して日本の指揮権・管理権が及ばず、日本の戦力には当たらないからだとしています。

一方、「伊達判決」では、日米安保条約が駐留米軍の日本国外への出動を認め、日本が提供した基地が米軍の軍事行動に使用されることを、まず問題視していました。

そして、日本が提供した基地から米軍が出動することで、日本が国外の武力紛争にまきこまれ、戦争の被害が日本に及ぶおそれもあるとしました。

したがって、そのような危険性のある米軍駐留を許した日本政府の行為は、「政府の行為によってふたたび戦争の惨禍が起きないようにすることを決意」した日本国憲法の精神に反するのではないか、と指摘していました。

さらに、そうした危険性を持つ米軍の駐留は、日本政府の要請と基地の提供、費用の分担などの協力があるからこそ可能だと説明しました。

そのうえで、日本政府が米軍の駐留を許していることは、米軍に対する指揮権の有無にかかわらず、憲法9条が禁じる戦力の保持に該当するので、米軍駐留は憲法違反だと結論づけたのでした。

しかし最高裁判決は、「伊達判決」が問題視した、日米安保条約が駐留米軍の日本国外への出動を認め、日本が提供した基地が米軍の軍事行動に使用される点を考慮しませんでした。

また、米軍の駐留は日本政府の要請と基地の提供、費用の分担などの協力があるからこそ可能だという点も考慮しませんでした。

最高裁判決はこうした問題点を無視して、ただ米軍に対して日本の指揮権・管理権が及ばない点を強調し、米軍駐留は合憲という結論を下したのです。