沖縄・辺野古の新基地建設に向けた海底ボーリング調査に対し、カヌーでの抗議活動中に海上保安官に拘束された市民。(撮影:吉田敏浩)

沖縄・辺野古の新基地建設に向けた海底ボーリング調査に対し、カヌーでの抗議活動中に海上保安官に拘束された市民。(撮影:吉田敏浩)

 

カヌーで抗議活動をする名護市在住の佐々木弘文〔こうぶん〕さん(38)が、こう訴えます。

「3人がかりで飛びかかってきて、水中に何度も沈めたりします。拘束の法的根拠は何かと聞いても、答えません。私たちは憲法で保障された表現の自由としての抗議をしているだけなのに」

モーターボートを操船する名護市在住の相馬由里さん(36)も、「ボーリング調査開始直後は、抗議船を辺野古漁港から出させまいとして、何台もゴムボートが接近して妨害していました」と証言します。

今回の「臨時制限区域」の設定は、在日米軍の権利などを定めた日米地位協定にもとづくとされています。しかし、沖縄の基地問題に詳しい加藤裕〔ゆたか〕弁護士は、次のように問題点を指摘します。

「米軍への提供施設・区域は、本来、米軍の訓練・演習のためにあり、日本政府による埋め立て工事のための立ち入り禁止水域拡大は、地位協定の目的を 逸脱する脱法行為です。誰もが自由に出入りできるはずの公有水面を、国会や地元自治体の承認もなく、一方的に立ち入り禁止にすることが問題で、全土基地方 式と呼ばれる軍事優先の地位協定の構造が根っこにあります。刑事特別法も米軍の運用を阻害しないためにあり、それを日本政府の工事のために転用するのは、 法の乱用です」

日米安保体制・日米同盟の軍事優先の国策が最優先されている現実が、そこにあります。
~つづく~(吉田敏浩)

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書籍 『検証・法治国家崩壊 ~砂川裁判と日米密約交渉』 (吉田敏浩)

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