高尾具成氏 毎日新聞記者。アフリカやアフガニスタンを取材。ジンバブエの取材でボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

高尾具成氏 毎日新聞記者。アフリカやアフガニスタンを取材。ジンバブエの取材でボーン・上田記念国際記者賞を受賞。

◆危険地帯取材はどこまで可能か。基準は何か。

イスラム国による日本人人質事件の渦中の今年1月と2月、外務省が退避勧告地域としたシリアに朝日新聞記者が入国して取材した。石丸氏は、これを記 事にした読売新聞と産経新聞に対して、「外務省が行かない方がいいという所に他メディアが入ったことを、わざわざ記事にするというのは、いったいどういう 了見なのか。メディアが自分の首を絞める行為だ」と語った。

また、シリア渡航を計画していたフリージャーナリストの杉本祐一氏に対する旅券返納命令について読売新聞と産経新聞が社説で政府の対応を支持した点 に疑問を投げかけ、「妥当であるという社説を読売と産経が書いた。これも、取材をするかどうかという物差しを国家に委ねているような主張。危険であるかど うか、そこにいって取材する値打ちがあるかどうかは、ジャーナリズムが独立的に自主的に判断する問題である」と述べた。

その一方で、石丸氏は、後藤氏の他、シリアで政府軍の銃撃により殺害された山本美香氏、ビルマで軍兵士に射殺された長井健司氏など、イラク戦争から後藤氏 殺害までの10余年間に6名のジャーナリストが紛争地取材中に亡くなった事実を指摘し、「後藤さんの事件で、フリーランスの連中は鉄砲玉のようにどこへで も行って勝手をやってすごく迷惑をかけているという意見が社会に強いということが露わになった。やはり、ジャーナリストは生きて帰らなければならない。現 場で死亡事故にあうというのは、ジャーナリスト側に多くの場合ミスがあったからだと思う。後藤さんの件はよく分からないけれど、やはりなぜイスラム国支配 地域に行ったのか謎だ。ジャーナリストだって悲しむ家族がいる。無鉄砲をやってはダメ。なぜジャーナリストの死亡事件が立て続けに起こったのか、私たち ジャーナリストがちゃんと検証しなければいけないと考えている」と語った。
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