「戦争と報道」シンポジウムの会場でジャーナリストの発言を熱心に聴く参加者。メモを取る参加者も多くいた。 左から石川文洋氏、小林正典氏、高尾具成氏、玉本英子氏、石丸次郎氏=大阪中央区

「戦争と報道」シンポジウムの会場でジャーナリストの発言を熱心に聴く参加者。メモを取る参加者も多くいた。
左から石川文洋氏、小林正典氏、高尾具成氏、玉本英子氏、石丸次郎氏=大阪中央区

◆政府に屈せず権力追及

毎日新聞記者の高尾具成氏は、米軍普天間基地の移設をめぐる取材で沖縄に入った際の、あるエピソードについて語った。それは今年2月、米軍キャンプ・シュワブの入口前で沖縄平和センター議長の山城博治氏が米軍側の警備員に拘束された事件のことだった。

「辺野古で抗議行動の調整に入った山城さんが黄色い線を越えたというだけで、(米軍側に)引きずり込まれた事件があって、どうしてもその黄色い線が 見たくてそこへ行った。その日は別に大きな抗議集会とかをやっていたわけではなく、おじいさんやおばあさんが、手前のテントに座っているだけ。時々何人か が、抗議の旗を持って黄色い線の前を行ったり来たりしていた。それを横から見ていると、陰が黄色い線を超える。今までであれば恐らく私は平気でその黄色い 線の内側に入ってその人の写真を撮ったと思う。ところが、待てよと思った。俺、引きずり込まれないかなとその時思った。物凄い威圧感があった」。

高尾氏の意見に石川氏は別の視点を加えた。

「(黄色い線を越えたことで)逮捕するなら、私は逮捕してもらって一向に構わない。政府からみれば我々は国賊。ジャーナリストというのは反権力・反 国家だと思う。海上保安官の辺野古の人に対する暴力はものすごい。それを琉球新報が撮って、国会でも追及していた。そういう権力を追及する写真を撮らなく てはいけない」。
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