◆「大阪中心」ゼロベース

そんな中、13年4月、ピースおおさかのホームページに「リニューアル構想」が突然公開される。「子ども目線」で「大阪中心」。「ゼロベース」で展示を見直すという。

設置理念が有名無実のものになるのでは――。危惧した市民たちが緊急に集まり「ピースおおさかの危機を考える連絡会」を結成。署名活動など抗議行動を始めた。しかしピースおおさかは全面改装工事に入り、15年4月に「大阪空襲を語り継ぐ平和ミュージアム」と銘打ちリニューアルオープンする。そこで、取り組まれたのが情報公開訴訟だった。

原告は、連絡会のメンバー、竹本昇さん(66)。三重県伊賀上野市の職員時代、情報公開を担当した経験から15年1月、府、市、ピースおおさかに対しリニューアルに関する公文書の情報公開を請求した。しかし、「リニューアルに向けた業務に支障をきたす」などの理由で公開を拒否されてしまう。竹本さんは非公開理由が正当でないとして異議を申し立てたが、本来諮られるはずの審査会も開かれないまま、結局、リニューアルオープンを迎えてしまった。

竹本さんは、知る権利を侵害され精神的苦痛を受けたとして同年8月、府、市、ピースおおさかを相手取り、非公開処分に対する損害賠償を求める訴訟をそれぞれ大阪地裁に起こした。一審はすべて敗訴したが、160万円の損害賠償を求めた市に対する訴訟で9月1日、大阪高裁は一審判決を取り消し、5万円の慰謝料を支払うよう市に命じた。(記事の続きを読む>>)【栗原佳子/新聞うずみ火】

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