短期強制労働キャンプの「労働鍛錬隊」の収容者が、隊列を組んで労働現場に向かわされるところ。収容者には中国から送還された人が多かった。2005年6月咸鏡北道清津市にて撮影リ・ジュン(アジアプレス)

◆容赦ない取り調べ

以下に記すのは、北朝鮮に送還された人々が辿る一般的な事例である。私自身の難民インタビューに、韓国の北朝鮮難民支援団体「NKネット」による、韓国入りした亡命者の調査を加えて整理したものだ。

中国で逮捕され北朝鮮に強制送還された難民たちは、まず、国境地域の保衛部で調査を受ける。この時点から「獣扱いが始まる」と多くの難民は言う。

保衛部員たちは送還されてきた難民たちを「中国非公式訪問団がまた来た」とか「江沢民がお前らを生かしてくれるんだと?」と憎まれ口をきき、「貴様たちは死んでもかまわない奴らだ」となんの遠慮もなく暴行を加える。

前出の白さんの証言にあったように、最初の調査は中国にいる間に、韓国人、キリスト教会関係者と接触しなかったかを重点的に詰問され、陳述書を作成する。

「ハイ、接触しました」などと素直に喋る人はいないので、ここでまず「第1回目の拷問が加えられる」と、送還経験のある難民は口々に言う。

また、金目の物や、質のいい衣服はここで強奪され保衛部員の懐に入る。送還後、再び中国に逃げてきた20代の女性は、「金はもちろん中国製のブラジャーや.パンプスまで取られた」と証言した。

「朝鮮民主主義人民共和国刑事訴訟法何条何項によってウソの陳述をしない、ウソの陳述をした場合は23年以下の教化の刑に処する」という内容に署名して陳述書を書く。
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