このような軍事優先の米軍のやり方に対し、日本政府には住民の安全重視の観点から有効な歯止めをかけようとする姿勢は見られない。

2019年1月には、パラシュート誘導傘が風に流されて行方不明となる事故もあった。

「基地のそばを通る国道16号線や五日市街道は交通量が多く、パラシュートの一部が車のフロントガラスにでも落ちて被さったら多重衝突の大惨事を引き起こします」(高橋さん)
米軍はパラシュート降下訓練の危険性をかえりみず、横田基地と横田空域を我が物顔に軍事利用している。
                          
高橋さんは米軍のパラシュート降下訓練をめぐって次のように指摘する。

「米軍はパラシュートの一部が基地外に落下する事故が起きても、訓練を取り止めません。羽村市など横田基地周辺の自治体と東京都が、在日米軍と防衛省に対して抗議し、事故の原因究明と再発防止策が講じられるまで中止するよう求めても、米軍はすぐに訓練を再開します」

「米軍の特権を認め、米軍に対して規制をかけられない日米地位協定の不平等性が根本的な問題としてあるのです。この訓練は特殊作戦部隊の敵地潜入に備えるものです。私たちの地域とその上空が、戦争のための訓練エリアとして利用されるのを認めるわけにはいきません」
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*関連図書
『「日米合同委員会」の研究』謎の権力構造の正体に迫る(創元社)吉田敏浩 2016年
『横田空域』日米合同委員会でつくられた空の壁(角川新書)吉田敏浩 2019年
『日米戦争同盟』従米構造の真実と日米合同委員会(河出書房新社)吉田敏浩 2019年

 

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