ミサイル発射の功労者との記念撮影に金正恩氏と収まった娘。韓国政府は名前を「ジュエ」と推測。2022年11月の労働新聞より引用。

◆民飢えさせてミサイル発射、娘と記念写真

北朝鮮が今年に入って発射したミサイルは少なくとも60数発。その費用は数百億円に上るとみられる。「人民を飢えさせて何の国防だ、自主独立を守るだ」と、彼女は電話で怒りを隠さなかった。

国連食糧農業機関(FAO)、国連児童基金(ユニセフ)など国連5機関は、昨年までの3年間、北朝鮮国民の4割以上が栄養不足状態にあったと推定している。金正恩時代の11年間で、人権状況がさらに悪化したのは間違いない。

11月16日、国連総会の第3委員会(人権)は北朝鮮の組織的かつ広範な人権侵害を非難し、改善措置を求める決議案を採択した。18年連続だ。それに対して金政権は「人民大衆の理想と要求に徹底的に合致する真の人権が享受されている」と、人権問題など存在しないと主張、米国と追随勢力による内政干で体制転覆をもくろむものだと決議案に反発した。

12月10日から日本国内で北朝鮮人権侵害問題啓発週間が始まる。世界の関心は核・ミサイル問題、そして国営メディアに登場した「尊貴であられるお子様」(労働新聞)にばかり向いているが、今一度、隣国の民衆の未曽有の苦難に心を寄せたいと思う。(石丸次郎)

 

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