自民党による世論工作ツイッターだと指摘された「Dappi」。アカウントは削除されている。

山本有二元農林水産大臣が代表を務める「自由民主党高知県第二選挙区支部」(以下、第二支部)が、株式会社ワンズクエストに対して、ホームページのメンテナンス料等を支払っていたであろうにもかかわらず政治資金収支報告書(以下、収支報告書)に記載しなかったとして、政治資金規正法の不記載罪に当たるとして、山本元大臣と会計責任者が高知地検に刑事告発された。ワンズクエストはツイッターアカウント「Dappi」の発信元として物議を醸した会社として知られている。(フリージャーナリスト・鈴木祐太

◆山本元大臣のHP制作をアピールしていたのに突然ツイート削除

告発状によると、「国会議員関係政治団体」でもある第二支部は、1万円以上の経費が発生した場合、収支報告書に記載する義務があるが、その関係経費を記載していなかった。

「Dappi」には、制作実績をアピールしたツイートに第二支部のホームページがリンクされたものが4件あったことが確認した「しんぶん赤旗」編集部が、この問題を山本議員の事務所に質問した2021年11月11日午後3時半から翌12日午前10時頃までの間に、「Dappi」のアカウントから山本議員のホームページに関する投稿が消去され、午後1時までにアカウント自体が削除された。

「しんぶん赤旗日曜版」編集部は山本事務所にしか質問をしていなかったにもかかわらず、「Dappi」のアカウントが削除されたことから、第二支部のホームページをワンズクエストが制作していたことを「自白」したようなものと告発状では結論づけている。

◆山本元大臣はワンズクエストの取引先の取締役を歴任

ワンズクエストの取引先に「システム収納センター」という会社がある。この会社の歴代取締役には、岸田総理をはじめ自民党の国会議員が歴任しており、役員には自民党の経理局長経験者が就任するのが慣例となっている。第二支部の代表である山本元大臣も自民党経理局長を歴任し、現在の「システム収納センター」の代表取締役を務めている。こうした事実からも、第二支部のホームページを制作していたのがワンズクエストだとしている。

告発状では、第二支部がホームページのメンテナンス料等を記載しなかった額を最低でも26万4000円、最高で約112万4000円としている。この根拠となっている資料が小渕優子選挙対策委員長の資金管理団体「未来産業研究会」の収支報告書だ。

「未来産業研究会」は2015年から2021年までワンズクエストにホームページの制作・保守管理を依頼していた。その支払先の大部分がワンズクエストだが、ドメイン料などは大手システム会社への支払いだ。

政治資金規正法違反で刑事告発された山本有二元農林水産大臣。HPより

◆デマ流して訴えられた「Dappi」

「Dappi」のアカウントは、主に野党やマスコミを批判するものが多く、プロフィールには「日本が大好きです。偏向報道をするマスコミは嫌いです。国会中継を見てます」と記載されていた。ツイートの中には、発信内容に不正確な点や誹謗中傷などがあり問題視されることもあった。

それだけでなく、2020年10月25日、森友学園を巡る公文書改ざん問題について「近財(近畿財務局)職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間つるしあげた翌日に自殺」とツイートしたが、それは虚偽だったことから杉尾秀哉参議院議員と小西洋之参議院議員から名誉棄損で訴えられる事態となっている。

◆「Dappi」との関連を隠すために不記載か?

刑事告発した神戸学院大学教授の上脇博之教授は次のように指摘する。

「第二支部のホームページは明らかに専門業者が作製したとわかるほど充実しており随時更新されていますので、メンテナンス等に経費が掛かることは明らかです。しかし、その支払いを収支報告書に記載していないのは規正法違反の不記載罪になります。

ただ、誰がメンテナンス等を行なったのか不明です。ニュースサイトのバズフイードジャパンの2021年12月3日の記事「Dappi発信元の社長は“友人” 山本元農水相のサイト関与『ポケットマネーで謝礼』専門家『規正法違反では』」を参考にして考えたところ、第二支部または山本議員が支払ったか、そうでなければワンズクエスト、またはその社長が無償で行なったのかのいずれかです」

今や、政治家が自前のホームページを持つことは当たり前である。その経費を収支報告書に記載していれば何の問題もなかったはずである。それにもかかわらず、記載しなかったのは、
デマをまき散らして訴えられた「Dappi」との関連を隠すためだったのではないか。

 

■ 鈴木祐太 (すずきゆうた)
1981年香川県で生まれ。岡山、大阪で育つ。大学在学中から貧困状態にある子どもたち、特に被差別部落や在日外国人の子どもたちへの支援に関わり、小学校講師、派遣社員などを経てジャーナリズム活動を始める。フロントラインプレス所属。

 

 

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