アジアプレスが入手した20201年8月の布告。赤線部には「国境に接近する者は無条件に射撃する」と書かれている。

◆地雷埋設は本当か?

中国への越境や密輸を遮断するために、鴨緑江、豆満江辺に地雷を埋設したという未確認の情報が、2021年後半頃から伝わり始めた。国境全域ではなく多発地点に限られているとのことだったが、住民に近づかないように警告があった。

しかし、いくらなんでも自国民の渡河を阻止するために地雷埋設までするだろうか? また、洪水などで地雷が流出すれば、中国側で事故が発生する可能性がある。アジアプレスでは、地雷埋設情報に関しては、確証が持てず公開を保留していた。

8月に接触した国境警備兵A氏は、地雷について次のように述べた。

「地雷は専門の工兵部隊が設置した。しかし、どこに、いくつの地雷を埋めたのかは秘密になっている。そのため、警戒勤務に立つ警備隊の兵士も、どこにあるのかよく把握しておらず、勤務するのが怖いくらいだ」

関連して、会寧市に住む協力者は、豆満江近くの住民と会って状況を聞いた。

「地雷の問題が深刻だそうだ。今年の梅雨時に、雨で豆満江近くに流された地雷が多く、それを回収・補修作業をするため、軍人と労働者が動員されていたと村人は言っていた」

韓国の北朝鮮専門メディア「デイリーNK」は11月6日、咸鏡北道の茂山(ムサン)郡で10月中旬に中国に脱北しようとした5人が地雷に触れて死傷する事件があったと報じた。

アジアプレスでは、茂山郡に住む取材協力者に確認を依頼したところ、「そのような事件があったとは承知していない」と回答した。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。(続く 2へ >> )

北朝鮮地図 製作アジアプレス

 

 

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