大手建材メーカーのノザワ(神戸市)は12月13日、自主回収していた肥料「マインマグ」について検証した結果として、法令の基準を超えるアスベスト(石綿)含有は確認されなかったと発表した。(井部正之)

ノザワの発表資料の一部。マインマグに「法令の基準を超える石綿が含有されていることは確認されませんでした」という

◆石綿含有の「おそれが高い」から一転

発表によれば、同社は「マインマグ製品の石綿の含有率を正確に分析するにあたって、専門機関による指導を仰ぎ、多方面からの検証を繰り返し行いました」という。その結果として、「法令の基準である0.1%を超える石綿が含有されているとの事実は確認されない、との結論」だった。つまり、基準超の石綿含有はないというのだ。すでに関係省庁に説明済みという。 もともとマインマグはかつてクリソタイル(白石綿)を採掘した際の廃棄物「鉱さい」を高温で焼成処理し、「完全無害化」したとされる苦土肥料で全国販売されていた。 筆者がマインマグC、miniの2製品を購入して3社で分析してもらったところ、いずれも白石綿を検出。石綿繊維の分布などから含有率を推計する「目視定量」でも3社とも明らかに基準超と判断。実際にマインマグCを定量分析しても0.8%で基準超だったため同社のコメントも含めて1月4日に記事を書いた。 その結果、同社は同12日に上記2製品について、石綿が含まれる「おそれが高い」として、すべてのマインマグ製品について使用停止などを発表。同30日に自主回収を発表した。 同社は自主回収の発表後も石綿含有については明言してこなかった。今回同社は当初の石綿が含まれる「おそれが高い」との自らの説明も、「法令の基準を超える石綿が含有されていることは確認されませんでした」と覆した。 その理由として、「弊社のマインマグ製品は、検証において通常の石綿含有製品(建材)に対して用いられる既存の検査方法ではその石綿(アスベスト)の含有を正確に測定することができない」と挙げる。しかし具体的な裏付けは示されていない。 いわば名指しで分析ミスを指摘された形になる、筆者が分析を依頼した1社は同社の発表内容を聞くとこう答えた。 「マインマグCは本当に簡単でしたよ。実体顕微鏡で(繊維状のものを)見つけて、偏光顕微鏡ではっきり白石綿を検出してます。基準の0.1%なんて余裕で超えています。(白石綿かどうかを判断する)屈折率もばっちりだし、すごく細く繊維状にわかれていて、アスベストフォームだし。顕微鏡写真も出しましたよね。間違いないですよ。自信持ってます。あれを否定するなら、なんでも言ったもん勝ちみたいになりかねない」 これらの分析結果が正しくないというのであれば、ぜひ科学的根拠を示していただきたい。 分析機関の1つは「費用を出すなら目の前で(分析を)やって見せますよ」と自信を見せた。 同社に直接取材を申し込んだが拒否され、メールで質問事項を送るよう求められた。13日午後6時45分ごろ石綿が検出されない科学的根拠などを質す内容を送ったが、午後11時30分現在、回答がない。 【関連写真】ノザワの肥料「マインマグ」のアスベスト含有を示す顕微鏡写真など

 

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