◆北部ハルキウ州で投入された日本の処理車両

今年4月、ウクライナ北部ハルキウ州イジュウム近郊に、日本から送られた地雷除去機の車両(BM307-V35)があった。日本のメーカー、日建(NIKKEN・本社 山梨県)が紛争地の地雷除去車両として開発したものだ。

イジュウムは、一時、ロシア軍に占領され、激戦ののちウクライナ軍が奪還した地域だ。建物の破壊の爪痕が生々しい町には、一部ながら住民が戻ってきていた。だが、周辺の道路の側道や茂みでは、まだ爆発物未処理を示す赤・白の規制テープが張られたままの区域が目立つ。非常事態庁は、日本の支援で送られたた地雷除去機を投入し、爆発物・地雷の撤去を進めている。

日本の支援で送られた地雷除去機、日建BM307-V35)。アームの先の回転ローラーで地雷を爆破除去する機構。車体は装甲化されていた。(2025年4月・ハルキウ州イジュウム・撮影・アジアプレス)

地雷が除去され、人びとが暮らしを取り戻す姿は確かに素晴らしい。だがそれを、村や街が立ち直るような復興の「美談」にとどめてしまってはならない。ウクライナで戦闘が続く限り、地雷や不発弾は増え続ける。これは天災ではなく、人為的な「戦争」によってもたらされた結果であることを忘れてはならない。

地雷除去機、日建BM307-V35。「From the people of Japan」とあった。(2025年4月・ハルキウ州イジュウム・撮影・玉本英子)
ロシア軍との戦闘が激しかった地域には、爆発物未処理を示す赤・白の規制テープが張られたままの区域がいたるところに広がっていた。(2025年4月・ハルキウ州イジュウム・撮影・玉本英子)
日建の地雷除去機は、これまでの除去車両が入りづらい側道や茂みなどにアームを入れて爆発物を除去できる。(2025年・ハルキウ州DSNS公表映像)

 

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