◆語りかけることの大切さ
退避シェルターとなっている地階フロアは、小さな教室に分かれている。低学年児童が学ぶ教室では、10人ほどの児童が黒板を見つめていた。
「森にはどんな鳥がいますか。さあ思い浮かべてみて」
先生は、絵や写真を見せる。
「鳩、ツバメ、コウノトリ」
児童たちは、元気よく答えた。



そのわきでは、2年生の児童5人が、肩を寄せ合って文学の授業を受けていた。ここでも、先生と子どもたちが対話しながらのやりとりだ。
「地下の狭い教室だけど気にならない。だって、ここでは先生と友達と会って話せるから」
ダーシャさん(8歳)が、うれしそうに言った。


学童園を運営するハンナ・オシェプコヴァさん(48)は、ウクライナ各地で教育事業を手掛けてきた。だがロシア軍の侵攻後、いくつかの施設は閉鎖を強いられた。「困難な状況でも、子どもが互いに学び、遊ぶことで人間性を育む場を確保したい」との思いで、規模を縮小しながらもクラマトルスクで学童園を維持している。子どもたちと対話する教育の重要性を、こう語る。
「戦争で子どもたちが強いられるオンライン授業の弊害は、互いに会話したり、社会性を身に着けたりすることができないことです。子どもたちに語りかけ、話を聞いてあげる。コミュニケーションを絶やさないことが大切です」
遠くで爆発音が聞こえることもある。そのたびに、「あれはドアがバタンと閉まる音よ」と子どもに伝えながら、退避措置を講じる。














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