◆「もの言えぬ」空気の同調圧力に覆われてしまいかねない
このような国民・市民の犠牲も織り込みずみの、軍事力強化に偏った政府の安全保障政策に白紙委任をするわけにはいかない。政府は一向に取り組もうとしないが、戦争を避けるためには「平和外交による緊張緩和と信頼醸成こそが必要」なのである。
その一環として、日本と中国の市民どうしの交流、対話、相互理解を通じた不戦・平和のための民間の国際連帯は、重要な意味を持つ。「安全保障は国の専管事項」という政府の主張に惑わされず、憲法前文「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないよう」に、国に白紙委任をしない主権者として国民・市民が、そうした取り組みをするのは当たり前のことだ。

しかし、そうした取り組みをする市民団体や個人などを、「外国勢力」と通じる「外国代理人」として白い目で見て、スパイ活動の疑いをかけ、監視・取り締まりの対象としかねない「外国代理人登録法」、「スパイ防止法」なる法制度ができてしまったら、中国敵視の排外主義的な風潮に拍車がかかり、この社会は「もの言えぬ」空気と相互監視・密告の同調圧力に覆われてしまうのではないか。中国の脅威や排外主義を煽る政治家たちは、外敵をつくりだして国内の矛盾に対する国民の不満をそらし、自分たちの支持層を増やそうとする。「裏金問題」や「統一教会との関係」のような不正・スキャンダルから有権者の目をそらすためにも利用する。
「スパイ防止法」には、戦争反対と政府批判の声を封じる狙いが秘められている。その制定の動きは、戦争体制づくりの一環にほかならない。「集会・結社・表現の自由」を脅かす「外国代理人登録法」、「スパイ防止法」を許してはならない。(つづく)
吉田敏浩(よしだ・としひろ)1957年、大分県出身。ジャーナリスト。著書に『ルポ・軍事優先社会』(岩波新書)、『「日米合同委員会」の研究』(創元社)、『横田空域』(角川新書)、『昭和史からの警鐘』(毎日新聞出版)など。













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