
◆前線の砲兵拠点で
ロシア軍が迫るクプヤンシク(クピャンスク)の前線地帯。内務省・国家親衛隊隷下の戦闘部隊、第15作戦任務旅団(特務旅団)の砲兵拠点の現場に入った。前回からの続き 全3回 2/3 (取材・写真・玉本英子)
◆闇夜を進む
日没後、兵士に同行し、さらに前線の砲兵拠点に向かう。外はすっかり闇に包まれていた。ピックアップトラックはヘッドライトを消し、農道を走り出した。雲が途切れると、その隙間から、月が顔を出す。月の光というのはこんなに明るいものか。ほどなくすると、地面に炎が上がっているのが見えた。「砲弾が落ちたようだ」と兵士が言う。


トラックの荷台に乗った2人の兵士は、ずっと空を見上げている。自爆ドローンを警戒しているのだが、高速で突っ込んでくる機体に向けて、揺れる荷台から自動小銃で撃ってもなかなか命中するものではない。数日前にも、この付近に有線式ドローンが飛来し、車両が狙われたという。これまでの無線式ドローンに対しては無線妨害装置(ジャマー)が有効だったが、ロシア軍が投入した光ファイバーケーブルで遠隔操作する有線式ドローンにはジャマーは効かず、車両や兵士が次々とその餌食になっている。
しばらく進んだ先で、トラックは静かに止まった。そこからは徒歩だ。泥でぬかるんだ道に足を取られる。敵に見えにくい赤い軍用ライトに照らされ、茂みの中に分け入った。枝をかきわけ、地面の下につながる穴を降りる。地中を掘った退避塹壕だ。入り口の黒い分厚いゴム布の仕切りは、外に光が漏れないようにするためだ。天井を丸太で補強した5メートル四方ほどの狭い空間に、2段ベッドが3つ置かれている。

























