第15作戦任務旅団(特務旅団)「カラ・ダグ」の砲兵部隊のヴラッド砲手(27)。ロシア軍と対峙するクプヤンシク(クピャンスク)の砲兵塹壕で、思いを語った。(2025年4月・クプヤンシク前線・撮影・玉本英子)

◆「大砲、発射!」

ロシア軍との攻防が続く北東部の町クプヤンシク(クピャンスク)。第15作戦任務旅団(特務旅団)の砲兵は、「停戦か、戦闘継続か」の問いに複雑な心境を語った。取材は2025年4月。全3回 3/3 (取材・写真・玉本英子
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【動画】「ハルマータ、ポストリール!」(大砲、発射!)。152mm榴弾砲ムスタ-Bの発射。発射後、すぐさま砲全体を偽装網で覆い、兵士たちは退避塹壕に駆け込んだ。(2025年4月・クプヤンシク前線・撮影・アジアプレス)

◆「一緒に戦いを始めた仲間はもうほとんど死にました」

ロシア軍陣地まで5kmの第15作戦任務旅団「カラ・ダグ」の前線の砲兵隊塹壕。

ここで一番若い兵士、ヴラッド砲手(27)に聞いた。

大学でコンピューターシステムとネットワークを学んだが、卒業からほどなくして召集令状が届き、入隊した。

以前、歩兵部隊にいたときがいちばん過酷だったと話すヴラッド砲手(手前)。戦闘で多くの仲間を失ったという。(2025年4月・クプヤンシク前線・撮影・玉本英子)

「戦争が始まった当初は最前線の歩兵部隊にいました。塹壕を砲弾が次々と襲ってきました。歩兵が最も厳しいんです。2年半の歩兵の戦闘任務で、体も心も壊れ、この砲兵部隊に転属できました」

過酷な歩兵部隊を、彼も経験していた。同じ前線任務でも、少し後方から砲撃する砲兵隊より、目の前のロシア兵と撃ち合い、すさまじい砲撃と自爆ドローン攻撃にさらされる歩兵は、犠牲も多い。

「一緒に戦いを始めた仲間はもうほとんど死にました。自分が知っている仲間で、おそらく今も生き残っているのは数人だけです。あるいは重傷を負って、戦えなくなって離脱したかです。もう本当に数えきれないほど、たくさんの友人が命を落としました」

指揮拠点から砲兵の塹壕に向かうときに同行した兵士。手にしていた銃はUAR-15。初めて見た。米国AR-15をベースに、ウクライナUKROP社が製造。第15作戦任務旅団が所属する国家親衛隊などに配備。(2025年4月・クプヤンシク前線・撮影・玉本英子)
現場の砲兵たちの銃は旧ソ連圏のAK系だった。ウクライナは、将来的にはUAR-15などNATO基準のシステムに移行する方向という。(2025年4月・クプヤンシク前線・撮影・玉本英子)

家族はきっと心配しているのでは、聞くと、スマホで写真を見せてくれた。

「両親と姉がいます。どんな親でも、息子がこんな場所にいるのなんて嬉しくはないですよ。でも、この任務が必要だと理解してくれています。できる限りの支援をしてくれています」

きっとこの言葉だけでは言い尽くせないほど、両親は不安なはずだ。歩兵のときに体も心も壊れたというぐらいだから、つらいやりとりもあっただろう。それぞれの兵士には、無事を願う家族がいて、日々、心をすり減らしながら、帰還を待ちわびている。そして、再会のかなわなかった家族もまたいる。

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