家族の写真を見せてくれた。それぞれの兵士には、無事を願う家族がいて、日々、心をすり減らしながら、帰還を待ちわびている。(2025年4月・クプヤンシク前線・撮影・アジアプレス)

◆「停戦か、戦闘継続か」 複雑な思い

武器不足が伝えられるなか、現場の状況を聞いた。

「82mm迫撃砲弾から、より大きな口径のあらゆる種類の砲弾が不足しています。多連装砲のほか、ハイマースのような高度な兵器、そして航空戦力。あと、物資や兵員を運ぶ車両なども必要です。なによりも、兵士が足りません」

「領土を失う形になっても“停戦”か、領土防衛のために戦闘継続か」について問うと、苦渋の表情をにじませながら、こう答えた。

「正直なところ、わかりません。もちろん最後まで戦うべきと思いますが、兵士が足りません。それが困難さを増大させています。もちろん、領土を失いたくはありません。領土を守るための戦いで、兵士だけでなく、市民もたくさん命を落としましたから。これまでの尊い犠牲を無駄にして、領土を簡単に手放すことは、やはりできません」

ハルキウ州クプヤンシク(クピャンスク)ではロシア軍との激しい攻防が続く。地図は2025年12月下旬時点の状況。市内の一部にはロシア軍が到達。ロシア側は「町を制圧」などとしている。(地図作成・アジアプレス)
「停戦か、戦闘継続か」の問いに複雑な心境を語るヴラッド砲手。(2025年4月・クプヤンシク前線・撮影・玉本英子)

これまで何人ものウクライナ兵に「停戦か、戦闘継続か」の質問をしてきた。答えはさまざまだし、心のうちにある思いをカメラの前で語るのにとまどう兵士もいる。侵攻当初の士気が高かった頃と、戦況悪化で犠牲が拡大し、心理的にも憔悴した今とでは、心情も違ったものになる。仮に「停戦合意」に至ったとしても、ロシアは将来にわたってウクライナにずっと干渉しようとするだろう。

「停戦か、戦闘継続か、の問い自体が間違っている。たとえ“停戦”しても、その間に、ロシアは武器と兵力を補強する。再び攻めてきたときに、誰が安全を保障してくれるのか」

なかには、そんな辛辣な声もあった。

ドローン攻撃が活発になり、弾薬だけでなく食料の補充にも影響が出ている。最近は物資運搬にオフロードバイクや、遠隔操作の地上ドローンカーゴ車両が使われることも。(2025年4月・クプヤンシク前線・撮影・玉本英子)
エナジードリンクBURN。任務中は当然、飲酒禁止。ただ、任務時間以外であっても、兵員交代のための後方拠点の町の周辺でもアルコール類を売っていないことが多い。エナジードリンクが人気だ。(2025年4月・クプヤンシク前線・撮影・玉本英子)

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