記者:じゃ、個人から仕入れるのですか?
店員:(商業管理所から来る)国産品は、「祝日供給」(注2)の時に入って来る石鹸ぐらいですよ。

記者:それは「祝日供給」のための物資として実際に入って来るんですか?
店員:まあ、「祝日供給」でも入りますし、社会主義の時は、洗顔石鹸や歯ブラシ、それに歯磨き粉や靴なんかも入ってきてましたけどね(過去形で話している)。今じゃ、そんなのは全部個人から仕入れてるんですよ。

ある地方の国営商店の内部。(2008年10月 シム・ウィチョン撮影)

ある地方の国営商店の内部。(2008年10月 シム・ウィチョン撮影)

 

記者:国家から課された一ヶ月の(売上)計画金額はいくらなんですか?
店員:ノルマは(一ヶ月)五万ウォンです。

記者:なんだ、少ないんですね。五万ウォンですか。じゃ、その計画金額を達成するためならば、商品を(個人から)仕入れようが関係ないってわけですね。
店員:それでも(国営)商店ですから、上から売れと言われた商品を置かないわけにはいかないんです。

記者:なるほど。じゃ、昔は商品は全部、商業管理所から供給してくれてたんですか?
店員:昔は商業管理所から送られて来た商品で、倉庫がいっぱいだったそうです。

記者:個人から仕入れて売ったとしても、ノルマは一ヶ月たったの五万ウォンなんですか?
店員:五万ウォンって言っても、それは、あくまでも額面上の計画がそうだってことなんです。他にも、社会的課題(注3)がいろいろあって大変なんです。

記者:(郡の)商業管理所に下される社会的な課題が、その下の里(リ:行政単位)に出店している国営商店に割り当てられてくるんですか?
店員:そうなんです。それが、売上ノルマよりもはるかに多いんです。

記者:そりゃ、そうでしょう。なんやかやと支援物資を出せというわけですね。
店員:そういうのも出せって言われます。

記者:商品をたくさん仕入れて積み上げて、いっぱい売ればいいじゃないんですか?
店員:でも、そんなことしても、ここは農村だからあんまり売れません。

記者:あんまり売れない? みんな金持ってないからですか?
店員:それほど需要が多くないので。農場員の人たちはお金を持ってないんです。ここに置いてあるものもたいがい必要ないんですもん。
農場の人たちがお金を使うのも、(秋の収穫の後で)分配を貰ったときだけです。今の時期は使いません。
農民は大変ですよ。以前は、都市部の人たちがしんどいって言ってましたけど、今は農民がしんどいんです。分配でもらえるもので、生活を全部賄わないといけないから。
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