記者:一〇〇万ウォンにもならない?
店員:なりませんよ。

記者:個人でもそれぐらいは......。
店員:個人でもそれぐらいは回すでしょうね。

記者:個人でも多額の現金持って商売しているのに。ここの商品には見たところ国内の平城(ピョンソン)とか江西(カンソ)とかで生産されたものもありますね。
店員:ええ、そうです。

記者:いっそのこと、直接仕入れに行けばいいのに。
店員:そうしようと思っても、国営商店ではできないんですよ。といっても商品も色々ないとダメなんです。だから、ある品の仕入れだけでお金を全部使って、それだけぽつんと置いとくわけにはいかないんです。

それで、こうして市場に行ってちょこちょこ仕入れてくるんですよ。それは笑いもんですよ(国営商店が市場から仕入れることが)。「われわれは、いろんな商品を置くようにって上から言われるから仕方なくこうして少しずつ市場で仕入れてるんだ」って言っても、みんな笑うんです。

記者:タバコなんか置けば、農場管理委員会とか里の党の連中がツケでたくさん買いそうですね。
店員:全部ツケはしんどいですね。(タバコを置くと)役人や幹部たちが、必要だからと言って持って行ってしまう。まあ、それでも農場員たちよりは金回りはましだから、タバコも買ってくれるでしょうけどね。
(つづく)
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注1 国営の商品流通企業のこと。計画に基づいて国営工場で生産された物資を、必要に応じて各地の国営商店に供給する。
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注2 金父子の誕生日や党創建記念日、建国記念日などには、指導者からの贈り物として特別に物資が配給されていた。
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注3 国家事業や軍隊支援などのためとして、企業、団体、個人に様々な物資の供出がノルマとして課される。

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