編集担当 崔真伊(チェ・ジニ)

sai.jpgアジアプレスから「リムジンガン」の編集の仕事を依頼されて資料に目を通した時、私は思わず
「これこそが、私のやるべき仕事だ!」
と声をあげてしまった。

送られてきた初校は、文章は稚拙な上、整理が不十分で取材者の意図がよく理解できない部分があったものの、全体としては感動そのものであった。
北朝鮮の人たちが取材したというリポートを読んで、厳しい北朝鮮社会で、人々は激流に巻き込まれ翻弄されながらも、生き抜こうとする力を失っていないことを発見し、これ以上ありがたいことはないと私は思ったのであった。

その粗削りながらも貴重なリポートの原稿は、私が北朝鮮を去って9年の間に生じてしまった北朝鮮社会での生活の空白を、ひとつずつ埋めてくれるものであった。

と、同時に、脱北者である私に、あらためて、北朝鮮と向き合わねばならないという使命感をしっかり認識させてくれたのであった。
2006年夏、梨花女子大学女性学科の修士論文を完成させた頃まで、私は計画していた米国ハーバード大学行きのことばかり考えていた。
女性学の勉強を世界の一流大学で完了させ、そこで博士号を取るつもりだったのだ。
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