ペク・ヒャンによれば、洞事務長の言うことなど、どこの地域の住民も昔ほど聞かなくなってしまったという。
洞事務所から家々を訪問して三放送を確認すると言っても、住民たちは閉ざしたままのドアを果たして開いてくれるのか、彼女も自信がなかったはずだと、ペ・ヒャンは言う。

かといって、洞事務長は保安員(警察)を頼ることもできない。
なぜならば、住民たちは何かと指導から外れた行為ばかりしようとするのだが、名目上は幹部である洞事務長は、そんな住民たちの行為に目をつぶる代わりに、賄賂を受け取って生きているのが現実だからだ。

しかし、賄賂を受け取ることができる地位というのは、国家の要求通りに住民たちを統制してこそ保つことができる。体を二つに割ることができたとしても、こんな両天秤をずっと続けるには、どれだけの才能があればよいのか…。

どうにもこうにもならない洞事務長の境遇が、私にはあまりにも哀れに思える。
注4 正確には「朝鮮中央第三放送」という有線ラジオ。党の指示を宣伝扇動、伝達するために北朝鮮の全家庭に設置される。国民の無知蒙昧化、愚民化する道具だと言える。

注5 金日成とその最初の妻金正淑(キムジョンスク)、金正日のこと
(資料提供 2006年11月 ペク・ヒャン 整理:チェ・ジニ)

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