「隊内民」の人たちの教育水準はあまり高くない。やはり平壌から来た「移住民」たちのほうがレベルは高いようだ。
入所当時、私たちは平壌から来たということで、予想していたより丁重に扱われ、ぞんざいな扱いは受けなかった。「ソルラ」が話せないからといって、いじめられたり馬鹿にされたりということはあまりなかった。

他の地域から来た「移住民」たちに比べ、平壌出身者は上に見てくれている感じがして、ある面では申し訳ない気がした。なぜなのだろうか。
三〇年間も「管理所」暮らしをしてきた人たちは、外のことを一切見聞きすることなく、ひたすらこのように過ごしてきたため、考え方そのものが融通が利かなくなっているのではないだろうか。

彼らはテレビさえ見ることができない。まるで旧石器時代人のように暮らしている姿は、本当に気の毒だった。
実際、彼らの暮らしは実に情けないものだった。

はっきり言って、ただ食べて働くことしか知らない。だから、「管理所」の中でも人間扱いされないのだ。
平壌出身だからといって、私たちだけが人間扱いされているという意味ではない。平壌出身ともなれば、相手の言うことにそつなく受け答えし、相手の心理を読んで上手に賄賂を使う術を知っているということなのだ。「隊内民」が私たちを人間扱いするのは、そのためなのだと思う。
(つづく)

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