
脱北難民が急増した90年代後半、国境警備兵の主要任務は住民が中国に脱出することを防ぐことだった。(1997年8月 鴨緑江上流の恵山(ヘサン)市を中国側から石丸次郎撮影)
インタビュー:強制送還された脱北女性の証言2
聞き手 石丸次郎
◆〈インタビュー 1〉Aさん (2)
拘留場での処遇
Q:取調べで殴打されたり、拷問されたりするようなことはありませんでしたか?
A:特別な場合、つまり人身売買や韓国行きの企図を取り調べる時には、ちゃんと答えなければ殴られていたようですが、私は殴られることはありませんでした。
Q:身体の捜索は? 私物は押収されるのですか?
A:朝鮮に入るやいなや、頭から足の指先まで全部検査されます。韓国人から貰ったものはないか、中国で生活していたのだから金を持っているだろうというわけです。
以前は、持っている物は、全部取り上げられたそうですが、今は本人に返してくれます。私の場合も、服は押収されませんでした。
中国貨幣は全部取り上げられました。朝鮮の金は保衛部(情報機関)から出されるときに返してもらえますが、本人にではなく家族に返します。
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