釜山(1)

【14回目を迎えた釜山国際映画祭。いまやアジアを代表する国際映画祭のひとつとなった。今年は釜山市各地の会場で355本の映画が上映された】(釜山で:撮影・玉本英子)

玉本英子 現場日誌
釜山でイラク映画を観る(1)
2009年11月3日

10月半ば、初めて韓国へ行った。目的は釜山国際映画祭。9日間の開催のうち、前半は韓流スター目当てに日本のご婦人たちが殺到したようだが、私が訪れた後半は外国人の姿も少しずつ減り、街は落ち着きを取り戻そうとしていた。

今回は女3人旅だ。宝塚アフガニスタン友好協会の西垣さんとアムネスティの津久井さんという強力メンバー。しかし韓国については皆ド素人だった。ガイドブック片手にウロウロ迷いながら映画館を目指す。それでも「アフガンと違って緊張しなくていいし、楽しいわ~」と笑顔の西垣さん。

巨大百貨店のあるセンタムシティー内で上映されたイラク映画「Herman」は知り合いのクルド人フセイン・ハッサン監督の作品だった。お客はまあまあの入りで、多くが学生風の若い人たちだ。

ヘルマン【クルド人の恋人どうしが戦争によって引き裂かれていく悲哀を描いた作品「Herman」】

「Herman」の舞台は88年イラク北部のクルド地域のある村。恋人関係にあるヘルマン(男性)とアダール(女性)が、イラク軍とクルド民兵の戦闘に巻き込まれ、離れ離れになる。へルマンはイラク軍の兵役を拒み山岳地帯へ、アダールは家族とともにトルコ国境へ向かう。
アダールはトルコ南東部の難民テントで生活を始めるが、ヘルマンの子を身ごもっていたことが分かる。未婚の娘の妊娠を知った父親は家族の名誉のためアダールを殺そうとするのだった。
一方、山岳地帯へ逃れたヘルマンはPKK(クルド労働者党)のゲリラに助けられる。そしてトルコ軍との戦闘に巻き込まれていく…。(つづく)