1997年にゴルカ郡で撮られたマオイスト武装勢力の写真。前列中央がウマ・ブジェル。(写真提供:A PEOPLE WAR)

1997年にゴルカ郡で撮られたマオイスト武装勢力の写真。前列中央がウマ・ブジェル。(写真提供:A PEOPLE WAR)

 

■第1回 プロローグ 生き残った女性ゲリラ■

一冊の写真集がある。タイトルは『A People War』。

ネパールでは、1996年2月から2006年4月まで10年間におよび、マオイストが武器をもって"人民戦争"と呼ばれる武装活動を展開した。
この写真集は、この10年の紛争に関連して、ネパールの国内外のジャーナリストを含むさまざまな人たちが撮影した写真を集めたものである。
100点を超える写真のなかで、とりわけ私の目を引いた1枚の白黒写真がある。

写真の出所は、政府側治安部隊に逮捕されたマオイスト。撮影されたのは「1998年ごろ」とある。標高が高いと思われる山の山頂付近で、潅木と青空を背景に撮られた、17人の武装マオイストの集合写真である。

全員がゲリラの制服を着て、星のついた帽子をかぶっている人もいる。約半数の人がライフルを手にもっている。私の目を引いたのは、他でもない。若い男たちに混じって写っている、たった一人の女性である。

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