警察詰め所はその北のはずれにあった。翌2月13日の朝、襲撃部隊はホレリ・バザールの上にある寺院に着いた。彼らは寺院にプジャ(宗教的な儀式)に来たように見せかけて、夕方まで身体を休めながら、ここで過ごした。

襲撃計画は午後7時半から8時にかけて、警官が夕食をしているときに襲って、警官を拘束下に置き、彼らが持っている銃を奪うというものだった。警察詰め所の建物の詳細や警官たちの行動パターンについては、すでに調べがついていた。

暗くなってから、アナンタとパサンが率いる36人の部隊は4つのグループに分かれて山を下り、警察詰め所の建物を包囲した。2人だけの女性メンバーであるウシャとタラは別々のグループに配置された。

ウシャは警察官を中に閉じ込めるために、建物のドアに錠をかける東側のグループに、タラはヌワガウン村から警官隊がくることを警戒して、それをブロックする北側のグループにいた。

襲撃を指揮するアナンタは、2人の女性に特別な指示を出していた。「話すな。叫ぶな」という指示である。ウシャたちが起訴されるのを避けるというコマンダーの思いやりであるとともに、グループのなかに女がいることを知られて、甘く見られることを防ぐためでもあった。
(つづく)

【連載】 ネパール マオイスト・女性ゲリラたちの肖像

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