トゥーロガウンで、巨大ななべで”アト”を作るマオイストの女性。(2003年3月 撮影 小倉清子)
トゥーロガウンで、巨大ななべで”アト”を作るマオイストの女性。(2003年3月 撮影 小倉清子)

客のなかには、人民解放軍のメンバーと思われる迷彩服を着た人もいれば、平地の民族であるタルーのような顔つきをした人もいた。店のなかで知り合いを見つけて、再会を喜ぶマオイストもいた。店の人が私たちのためにインスタント・ラーメンを作ってくれたのだが、私は食欲がまったくなく、半分しか食べることができなかった。お湯をもらい、何杯か飲んだ。

しばらく観察していると、この店を切り盛りしているのは、60歳くらいの女性と、その娘ほどの年齢の若い女性、そして、1人の若い男性であることがわかった。3人ともこの地域の先住民族であるモンゴル系のマガール族である。
 

 

タバン村トゥーロガウンで会ったマガールの女性。(2003年3月 撮影 小倉清子)
タバン村トゥーロガウンで会ったマガールの女性。(2003年3月 撮影 小倉清子)

とくに私の目を引いたのは年老いた女性だった。マガールの民族衣装を着て、素足に運動靴を履いたこの女性は、店に客が入ってくると右腕を上げて「ラール・サラーム!」と元気に挨拶をしていた。これは、ネパールのコミュニストがよくする挨拶である。その後、何度かタバン村を訪ねるうちに知ったのだが、この女性は党名を"チュノウティ"といい、タバン村の隣にあるルクム郡マハト村の出身だった。

夫を亡くしているが、マオイストが人民戦争を始めてまもなく地下に潜行し、活発に党活動に参加してきた女性である。彼女はマオイストには愛想が良かったが、私に話しかけてくることはなかった。その後、何度かタバンを訪ねたときに、チュノウティにも再会したが、一度も打ち解けて話をすることはなかった。
(つづく)


【連載】 ネパール マオイスト・女性ゲリラたちの肖像

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