「着工式の前日、広場にいるタクシーの運転手に着工式について尋ねてみた。すると『着工式当日はタクシーの運営が禁止されており、家でじっとしていなければならない』と大変な不満をかんじているようだった。

せっかくの羅津市の発展につながる大きな記念式なのに、なぜ市民を排除するのかと聞いたら、うなづきながらも『分からない』としか言わなかったが。彼の不満はまた、稼ぎの少なさにもあるようだった。ガソリンは全て中国からの輸入で、1リットルあたり10中国元(124円)もするということだった」
さらに羅津市内の様子については以下のように語った。

「羅津市内の市場では子どものコチェビの姿が少なくなかった。子どものコチェビたちは私のような外国人に対して『お腹が空いたので1元(12円)だけでもください』と物乞いをしていた。周囲の大人たちはそうした子どもに、物乞いを止めるよう叱っていた。また、市内の街路樹にはイルミネーションが施され、道行く人の服装もどんどん洗練されていっているように思える。

税関や入国審査での外国人訪問客に対する態度からは高圧的な様子が消え、丁寧に接するよう訓練された印象だった。羅津市は変わりつつあるようだ」

※1 新法では90年代の轍を踏まぬよう、羅先市の地方政府の権限が強化され、投資企業に対する税制優遇措置が若干強化されるなど、評価できる点もある一方、労働者の雇用を北朝鮮当局の許可なく行えず、北朝鮮の企業所による羅先経済特区への投資を禁じるなど、改革開放に歯止めをかけようとする北朝鮮側の姿勢も依然として存在する。何よりも施行された実例に乏しいため、現実的な変化を計るには至っていないのが現状だ。
※2 張成沢氏は「羅先経済貿易地帯と黄金坪・威化島経済地帯(特区)の共同開発および共同管理のための朝中共同指導委員会」の北朝鮮側委員長を務めている。
(中国延吉=パク・ヨンミン、整理 李鎮洙)

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