羅先特別市と羅津港の位置。(C)アジアプレス

羅先特別市と羅津港の位置。(C)アジアプレス

 

10年近い停滞があった後の2010年1月4日、北朝鮮政府は羅先市を「特別市」に指定、同時に「羅先経済貿易法」を改定し、再開発への意欲を見せている(※1)。これは中国が2009年8月に国家計画として策定した一大開発プロジェクトである「長吉図開発開放先導区」を迎えての措置だと受け止められている。

北朝鮮側は国境を接する中国吉林省の経済開発による恩恵を受けたい一方、中国側は東の出口として羅津港を活用したい思惑が一致している点は見逃せない。去る9日の着工式はこうした朝中の新しい経済協力関係の第一歩となると注目を集めている。

朝鮮中央通信は9日、着工式に中国側からは陳徳銘商務相をはじめ、王珉(遼寧省共産党書記)、孫政才(吉林省共産党書記)、駐北朝鮮中国大使の劉洪才氏などが、北朝鮮側からは国防委員会副委員長であり金正日総書記の妹婿である張成沢(チャン・ソンテク)氏や李万健(リ・マンゴン、平安北道党書記)、林景万(イム・ギョンマン、羅先特別市党書記)氏などが参加したと明らかにしている。

再び柳氏の話。
「先の中堅幹部から、張成沢氏が当日レストランで行われた歓迎会の席で『このような立派な行事が羅津市で行われたことを嬉しく思う』と、今回の行事を成功裏に開催した羅津市に対して称賛を惜しまなかったと聞いた(※2)。

また、羅先市の内情に精通する高級幹部からは、『今後、外国人による投資についての法が改正される見通しだ。90年代から羅先市を経済特区に指定するにしたがい、外国人投資法も改正されてきたが、今でも外国人投資者の権利が守られていないのが実情で、これを改善し、より多くの投資を呼び込むよう金正日総書記の指示があったと』という話を聞いた。この幹部は長いあいだ羅先市の官僚を勤めており、羅先市開放の紆余曲折を知っていることから、信頼できると思う」
柳氏はまた、羅津市民の声をこう伝えている。
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