「ポリコゲ」は北朝鮮で最も大変な時期です。(初夏の)ジャガイモの収穫まで耐えに耐えて、やっとそれらを収穫したら、農民たちもなんとか一息つけるんですが、今年講演に行った農場では、そのジャガイモもごっそり持っていかれました。人民軍に食糧が無いため、部隊ごとに農場を割り振るようになったというんですよ。「お前たちの部隊はどこどこの農場に行って麦とジャガイモ何十トンを必ず確保してこい」という風にね。それで軍隊が農場にやってきて「無条件で供出せよ」となった。軍人も必死ですからね、食べ物ないから。

でも農場にそんな余剰分があるわけない。だから結局、軍人たちは農場の幹部たちに頼み込んで、農民たちが受け取るはずの「分配」を引き渡すことになった。それでも足りないので、ジャガイモを一五トン徴発していきました。私が実際にこの目で見たことです。

パク:農場を管理する幹部は、農民たちから恨みを買いませんか?
幹部:それは恨まれますよ。でも彼らは「上からやれと言われた通りにやっただけだ」と言うんです。そうやって自分の責任を上部になすりつけて、その上部もまた上のせいにして......。農場の幹部たちも、その上の里リ(最小の行政単位。郡に属する)の幹部たちも、上部からの指示があると自分が生き延びるためには従わなくてはならない。

取り上げる側の幹部たちも泣くんですよ。私の手首をこう握ってね、「取り上げたらもう、食べるものが残らない人たちから取り上げなければならない、飢えさせるのが分かっていながらそうしなければならない、それがどんな気持ちだか分かりますか? 胸が張り裂けるようです」と慟哭するのです。ある農場の幹部は、「もう我慢できない。農民たちになんの罪があって、何種類もの徴発をしなければならないんだ」と涙を流し震えながら話してくれたことがあります。
(つづく)

〈リムジンガン〉混迷深める北朝鮮経済(1)-1
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