◆不透明な埋め立て承認

吉川さんの発言にある、「『生活環境と自然環境の保全を図ることは不可能』との知事意見」とは、これを指します。

つまり、公有水面埋立法第4条では、環境保全に十分配慮されていない埋め立ては、知事は「免許することはできない」と定めているわけですから、この「知事意見」の内容は、辺野古移設は事実上不可能との見解を示すものでした。

実際、「知事意見」の前文には、「県としては、地元の理解が得られない施設案を実現することは事実上不可能であり、日本国内の他の地域への移設が、合理的かつ早期に課題を解決できる方策である」との考えが記されていました。

それに対して防衛省は、「知事意見」で指摘された部分を再調査したりして、「環境影響評価書」の補正をし、「補正評価書」を提出しました。

しかし、その「補正評価書」と、その後の「埋め立て申請書」の段階においても、吉川さんが言うように、沖縄県環境生活部が「申請書の環境保全措置で は不明な点があり、懸念が払拭できない」と不備を指摘しており、「生活環境と自然環境の保全」という問題点は解決していなかったのです。

ところが、2013年12月に仲井真知事が上京して安倍首相や菅官房長官らと会談し、安倍首相が沖縄振興予算を2021年度まで毎年3000億円台を確保するなどと表明した直後の、12月27日、知事は埋め立てを承認したのでした。

沖縄県環境生活部が「懸念が払拭できない」と指摘していたように、環境保全の問題は未解決であるにもかかわらず、仲井真知事は突如ゴーサインを出したのです。

まさに不透明な埋め立て承認としか言いようがありません。

今度の県知事選で翁長氏が当選した場合、この不透明な埋め立て承認の過程が検証されることになるでしょう。

~つづく~ (吉田敏浩)

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書籍 『検証・法治国家崩壊 ~砂川裁判と日米密約交渉』 (吉田敏浩)

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