「傀儡の言葉で話したり通報文を送ったりする現象は、反動思想文化流布の罪として、反国家的で、反社会主義的な犯罪の烙印を押される」とある。(撮影アジアプレス)

◆「韓流」流布は反国家的犯罪

金正恩氏のこの発言を受けて、組織指導部と宣伝煽動部は対策案を作り、金正恩氏の承認を得て全国の地方組織に指針として下達された。

取り締まりの標的になっているのは若者たちだ。「金日成・金正日主義青年同盟」(青年同盟)を通じて、若者たちの間の「韓流」汚染に厳格に対処することを通達している。青年同盟は労働党傘下の青年組織で、高級中学校1年生(中学は6年制)から概ね40歳未満の非党員で構成される。中学生、大学生、勤労者、未婚の女性たちだ。

言語生活の中で異色的な要素が少しでも現れた時には、絶対に黙過せず、組織別に思想闘争と、従業員、住民、学生の総会で暴露批判し、本人はもちろん、責任ある幹部と教員、親たちについても、しっかりと問題視するようにします

傀儡の言葉で話したり通報文を送ったりする現象は、反動思想文化流布の罪として、反国家的で、反社会主義的な犯罪の烙印を押されることを、同盟員の中ではっきりと認識させるようにします

上の傍線部は、外国からの帰国者を漏れなく掌握すること、下は、学生たちの所持品のチェックすることを対策として指示している。(撮影アジアプレス)

◆外国帰りを監視、進学と軍入隊から除外

青年同盟組織で、異色的な言葉を真似る要素がある対象者と、留学、実習、科学研究、労力派遣などで他の国に行って来た対象者たちを漏れなく掌握し、該当する教養対策を徹底的に立てるとともに、傀儡の言葉のかけらを使う些細な現象も絶対に見逃さず、強い組織的闘争を展開し、萌芽段階で粉砕するようにします

中国などの外国から帰国した者を監視し、思想教育を施して「韓流」を国内に伝播させないようにするというというわけだ。

青年同盟組織では、教育機関と協力して大学生に対する掌握統制をより一層強化し、規定の要求どおりに普通教育部門(中学生まで)の学生たちが手電話を持ち歩かないように厳格に統制し、青少年学生たちのコンピュータ、手電話、音楽手帳、学習帳などの所持品に的確に指導・対策を取り、傀儡の言葉のかけらが入り込めないようにします

中学生(日本の高校以下)には携帯電話を所持させず、若者の所持品の中に韓流が入り込んでいないか厳しくチェックせよということだ。

青年同盟組織と教育機関で、傀儡文化に汚染された対象者に対しては、人民軍隊への入隊と上級学校への推薦、表彰事業などから無条件に排除させ…

韓流に影響されてしまっている若者は軍隊への入隊と進学から排除せよというのも厳しい措置だ。男子の軍服務は義務制で(2020年は13年間)で、劣悪な環境での難行のため忌避しようする者が後を絶たないが、一方で軍服務は社会進出するための必須のキャリアだ。軍入隊を認められないと、労働党入党も条件の良い職場への配置も望めない。さらに進学もままならないとなると、北朝鮮社会では落伍者となる他ない。

「傀儡どもの言葉を模したり真似たりするクズ共に対する公開闘争、公開裁判を大々的に組織し、強い法的制裁を加えながら、家族は都市から追放し」とある。(撮影アジアプレス)

◆公開裁判、さらに都市から追放も

傀儡どもの言葉を模したり真似たりするクズ共に対する公開闘争、公開裁判を大々的に組織し、強い法的制裁を加えながら、家族は都市から追放し群衆を覚醒させると共に、責任のある幹部たちにも該当する行政的、法律処罰を与えることにします

都市住民の子供が「韓流」に染まっているとみなされると、連座して家族を農村、僻地に追放するということを言っているが、これは北朝鮮人々に強い恐怖を与えるだろう。

北朝鮮で最下層に置かれているのは協同農場員だ。貧しく、常に飢えの脅威にさらされ発展が望めない。一度農村に配置されると、その子供も孫も代々農場員の身分から脱することは困難だ。

これら「韓流掃討戦」は実行に移された。韓国ドラマを視聴しないよう、コンピュータに国家承認されていない映像の再生を遮断する「堡塁」というプログラムの設置が義務付けられた。外国ドラマを見ていたとして取り調べを受けた青年が、厳しさに耐え切れず自殺する事件があった。11月には茂山郡で公開裁判が行われ、教化刑(懲役)が科されたのである。

おぞましい「韓流掃討戦」の具体例が、私たちの取材協力者たちから続々報告されている。
(続く)