建設現場でアスベスト(石綿)を吸って健康被害を受けたとして、近畿・四国の元労働者や遺族32人が国と建材メーカー22社に7億1200万円の賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)が国の上告を受け付けない決定を出していたことが明らかになった。最高裁による決定は2月22日。これにより国に対しては、労働者だけでなくいわゆる「一人親方」についても責任を認めた大阪高裁判決が確定した。また建材メーカー7社も敗訴が確定した。(井部正之)

最高裁で国の敗訴がまたも確定した建設アスベスト訴訟。写真は大阪高裁判決に臨む原告らのようす

◆国の責任「より重い」と最高裁

最高裁は22日までに国の上告を退け、被災者19人のうち、建設作業に従事したのが1974年以前である1人と作業内容が明らかにならなかった1人を除いて17人について国の責任を認め、原告31人への計2億1800万円の賠償を命じた2018年9月20日の大阪高裁判決が確定した。

アスベスト建材が大量に使われるようになったのは国の住宅政策に起因することなどから、一連の訴訟で初めて国の賠償責任の割合を3分の1から2分の1に引き上げた高裁の判断についても確定。また1991年末時点で国はクリソタイル(白石綿)も含めすべてのアスベスト建材の製造や使用を禁止すべきだったとの高裁判断についても、国の上告を退けた。国の責任がより大きいことを最高裁が認めたことになる。

建材メーカーに対しては、被災者11人(原告13人)に関連して責任を認め、エーアンドエーマテリアル、神島化学工業、大建工業、ニチアス、日東紡績、ノザワ、エム・エム・ケイの7社の敗訴が確定した。賠償額は計約1億1000万円。

国の敗訴が確定したのは2020年12月14日の東京訴訟、1月28日の京都訴訟における最高裁決定に続いて3例目。建材メーカーの敗訴確定は2例目となる。

原告側弁護団は「国も企業も(裁判で)負けても負けても和解しなかった。10年間、被害者は酸素ボンベを引きずって裁判所に通った。最高裁で結論が出たのだからボールは国や企業にある」とかねて求めている建設アスベスト被害者救済の基金制度設立を改めて迫った。

なお、建材メーカー1社については屋外作業者に関連して、最高裁が上告を受理。4月19日に最高裁で弁論が開催されることになった。