4月1日の改正大気汚染防止法(大防法)施行により、アスベスト(石綿)規制が強化されることは報じられているが、じつは関連する廃棄物規制が緩和されることは知られていない。アスベスト規制強化のための法改正で逆に規制緩和が図られるのはどういうことか。(井部正之)

外壁の表面に施工された仕上塗材

◆同じ性状で規制異なる失策

2020年5月末の大防法改正は、建築物などの改修・解体時におけるアスベスト対策を強化するもの。アスベストを含む成形板などいわゆる「レベル3」建材をようやく15年以上遅れて規制対象に加える(労働者保護で2005年7月施行済み)ほか、アスベストを調査する者に資格要件を課す、80平方メートル以上の解体や100万円以上の改修工事でアスベスト調査結果を都道府県などに報告する義務を設けるなど、さまざまな規制強化が図られている。

今回の法改正については不十分との批判も多く、「正直こんなものかと思いました。もうちょっと頑張ってくれることを期待していたんですが」と自治体からも落胆の声が上がる。とはいえ監視・指導を担う自治体の負担が大きいため、「それなりの大改正」との評価も聞かれる。

実態はともあれ、少なくとも環境省がそれなりに力を入れたはずの法改正でこっそり規制緩和が図られているのだ。

現在アスベストを含む廃棄物は、廃棄物処理法(廃掃法)により「特別管理産業廃棄物(特管産廃)」の「廃石綿等」または「石綿含有廃棄物」の2つがあり、吹き付けアスベストなどの除去物などが該当する「廃石綿等」は、飛散性がとくに高いことから特管産廃として、通常の廃棄物よりも厳しい管理が求められている。ちなみに「石綿含有廃棄物」は一般家庭などから出されたものが「石綿含有一般廃棄物」、事業活動などで発生したものが「石綿含有産業廃棄物」となる。

じつは昨年5月末の大防法改正に関連した廃掃法の改正はされていない。にもかかわらず、現状では「廃石綿等」であるアスベスト廃棄物の一部が「石綿含有廃棄物」に4月1日から規制緩和される。

規制が緩められるのは、外壁や天井などに使用される「仕上塗材」(セメントや合成樹脂などの結合材・顔料・骨材などで構成する仕上施工)のうち、「吹き付け施工」されたもの。古い公共施設の外壁や内壁、天井で多くみられるざらざらした手触りの表面施工が1例である。