(参考写真)刈り取り後の田で落穂を探す老女。2012年11月平安北道の新義州の農村にて撮影アジアプレス

◆農機の70%が動かぬ農場も

本格的な種蒔き・田植え期を目前にして、各地の農村で営農資材の不足が深刻化していることが分かった。肥料、農薬、トウモロコシと稲の幼苗用のビニールから農機具まで、必須の営農資材が足りず、各地域の農村経営委員会(行政機関)が実態把握に躍起になっているという。(カン・ジウォン

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3月後半に、北部地域に住む取材協力者が調査して伝えてきた農場の実情は深刻だった。

「農場には幼苗用のビニールがない。ナレ(稲わらで作った覆い)で代用するほど深刻だ。廃ビニールを再利用するよう指示もあって、農場員を廃ビニールの継ぎはぎ作業に動員している。農業機械は10台のうち7台が動かない。補修部品を国内でまともに生産でないからだ」

農業用ビニールも農機も、新型コロナウイルス対策で中国との貿易を厳しく制限た結果、農業用ビニールも農機も輸入がストップしているのだ。

北朝鮮地図(製作アジアプレス)

◆堆肥より劣る国産化学肥料

肥料の供給も遅れている。別の取材協力者が両江道(リャンガンド)の金亨稷(キムヒョンジク)郡の農場員に聞いたところ、遅延している最初の化学肥料の供給は4月中旬になる予定だと上から説明があったが、コロナ防疫のための輸送制限で、もっと遅れるものと見ているという。

また国産肥料の質の悪さも問題になっている。協力者が聞いた協力者が聞いた金亨稷郡の農場員は、「昨年、国産の化学肥料を施した畑では、人糞などで作った堆肥を施した畑より生産量がずっと低かった。国産肥料はあまりに低質なのだ」と説明する。

深刻な営農資材の不足に対し、各地の農村経営委員会では、域内の協同農場で情報を収集して上部に報告し、必要量を中国から緊急輸入する計画だという。

4月の種蒔き、田植え期の営農準備を怠ると、秋の収穫に大きな影響が出る。金正恩政権は、すでに北西部の中国貿易の拠点都市の新義州(シニジュ)などで、中国から営農物資を緊急輸入する動きが見せているが、穀倉地帯の黄海道(ファンヘド)の農場に優先的に供給される可能性が高く、他地域には、4月中に届けられるのか不透明な状況だ。

北朝鮮では、農繁期の4月から全国の都市労働者が援農に赴く「農村動員」が始まる。今年は「通い」ではなく、工場や企業所から農村に常駐する人員を選抜する予定で、特定の農地を担当させる方式になる見込みだという。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。