ショックを受けたのは、6月後半から老人が次々に死んでいるという報告が、北部のあちこちから届いたことだ。両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市の協力者は

「食べられなくて体が弱っているので、風邪や下痢だけであっけなく死ぬ。中国から医薬品が入って来なくなったからだ。このままでは、年寄りは皆死んでしまうと言い合っている」

と伝えてきた。

北朝鮮当局が重い腰を上げたのは、6月17日に金正恩氏が食糧危機を認める発言をしてからだ。現金も穀物も尽きた「絶糧世帯」の調査が、各地ですぐに始まった。6月末から7月中旬に、「1世帯当たりトウモロコシ3~5キロが緊急支給された」と、各地の協力者から連絡があった。

北朝鮮で起こっている混乱は人災である。コロナ防疫だけに没頭し、民を顧みなかったせいで発生した人道の危機だ。さらに悲惨な事態にならないよう、隣人の窮状に関心を喚起したい。

※7月6日付の毎日新聞大阪版に掲載されたコラムに加筆修正しました。