◆農村から市場への流出止めるため検問

農村から都市への食糧の流出にも当局は神経を尖らせている。協同農場には「予備米」と呼ばれる備蓄食糧があるが、これが高値に乗じ市場に転売されるのを警戒しているのだ。

農村でも現金も食糧も尽きた「絶糧世帯」が増え、農場に出勤できない農民が増えている。56月、当局の指示により各地の農場で「絶糧世帯」の実態調査が行われたが、アジアプレスが6月に調査したところ、咸鏡北道のある農場では世帯の30%、両江道の別の農場では50%が「絶糧世帯」として記録されていたことがわかった。

農場員が餓えていては、秋の収穫に悪影響が出るのは不可避だ。農場の「予備米」が都市に流通しないよう必死なのだ。

「農村に通じる道路では検問を行っていて、食糧は10キロまでしか持ち出せないよう見張っている」と、咸鏡北道(ハムギョンプクド)の協力者は伝える。

◆市場安定に住民は懐疑的

述べてきたように、当局は無理な「値下げ策」を強行しているが、協力者たちは「価格安定は難しいと思う」と口を揃える。

資金難と肥料などの営農資材不足で、今年の収穫は期待薄との見通しが支配的だ。トウモロコシの収穫は早い地域でも8月末。稲刈りは10月なので、中国などから大量の支援食糧が入って来ない限り、品薄状態は当面解消されないと予測しているわけだ。

「政府機関が保有している食糧があるが、幹部たちはそれを市場に売って資金を作りたがっている。知りあいの幹部は『まだまだ食糧価格は上がるはず』と言っていた。高値で売る機会を狙っているようだった。警察は、政府機関の動きまで警戒して監視を強めている」

両江道の協力者はこのように述べた。

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。