◆日本まで連れ帰ってほしい
Aさんは、今回の空爆での邦人避難のあり方について、次のように希望する。
「退避させてくれるなら、第3国止まりではなく、最終地の行き先は、日本本土にしてほしい。戦況が悪化し、生きるか死ぬかになったなら、やはり、日本を目指して逃げたくなると思うんです。でもよくよく聞いたら、退避とは今いる危険な国から、危険ではない国に送ることなのだそうです。つまり、そこから先は日本政府の仕事ではないと」
Aさんはさらに、異国に暮す在留者の一人として、大使館に向けたささやかな希望を口にした。
「いざというとき、もしも戦争で街が荒れて、(荒れなくても)、今いる場所が不安なら、大使館に避難してきてもいいですよって言ってもらえたら、とても心強いんです。昨年の戦争のとき、大使館に逃げてもいいかと問い合わせたら、避難所として開放する予定はないとの回答でした」
主権国家にとって自国民の保護は、国家の存在意義にかかわる最も基本的かつ重要な事項である。
現在、イランには様々な事情を持つ在留者が暮らしている。大使館職員や企業の駐在員とは異なり、在留者の生活の拠点はイランであり、そこからの退避は、すべての財産、生活の基盤を失う覚悟さえ必要なこともある。早めの避難を呼びかけられたとしても、簡単に決断できるものではない。安全な第3国への移動が邦人退避の原則だとしても、そこにわずかな思いやりを差しはさむ余地はないのだろうか。
イランの最高指導者ハーメネイー師が殺害されたとの情報が流れ、SNSには、一部の市民が街頭で叫んだりクラクションを鳴らしたりとお祭り騒ぎのような動画も出回っている。
私は邦人のAさんのほか、イラン国内の複数のイラン人の友人にもコンタクトを試みたが、通信できない状況が続いている。Aさんが日本大使館の退避バスに乗り込んでいるのかも不明だ。
無事を祈るばかりだ。
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大村一朗(おおむら いちろう・アジアプレス)
1970年生まれ。2012年春まで首都テヘランに滞在。イラン国営放送ラジオ日本語課に勤める傍ら、フリーのジャーナリストとしてイランの生活、文化など広く取材。2009年には大統領選挙後の抗議デモに足しげく通い、騒擾下のテヘランの実情を内部から伝えた。著書 『シルクロード路上の900日』(めこん)、共著 『21世紀の紛争』(岩崎書店)










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