イスラエルによるテヘラン市街空爆の様子(2026年2月28日・IRNAイラン国営通信公表写真)

イスラエルとアメリカによるイランへの空爆を受け、日本政府は、イランに滞在する邦人の国外退避を早急に進める方針だ。
現在、イランには、およそ200人の日本人が滞在しており、政府は希望者を募って、バスなどを用いた陸路での国外退避を実施するとしている。テヘランに住む在留邦人と連絡をとりあい、国外退避への思いを聞いていたさなか、空爆が始まった。(大村一朗・アジアプレス

◆イスラエルの空爆開始

イラン各地の主要都市(地図作成・アジアプレス)

日本時間2月28日16時すぎ、テヘラン在住の日本人AさんからSNSメッセージが届いた。「イスラエルが攻撃してきた。ボンって数回音がしました。怖い」。すぐに返事を送ったが、既読はつかなかった。

このやりとりの2日前、イスラエルとアメリカによる攻撃が近いことを見越して、Aさんに邦人退避について話を聞いていた。そのときAさんは「自分のところに(攻撃は)来ないだろうと(信じているので)案外、平気です。こわがって怯えていても、滅入るだけですから」と気丈に話していた。

昨年6月のイランとイスラエル間に起きた「12日間戦争」の際、Aさんは首都を脱出する多くのテヘラン市民とともに地方部へ疎開した。その直後、日本大使館から邦人用退避バスの知らせが入った。それは、テヘランから隣国アゼルバイジャンの首都バクーへ向かうというものだった。

2025年6月の「イランからの陸路による邦人等の退避支援の実施について」のプレスリリース(外務省HPより)

Aさんは当時を振り返り、邦人避難バスの利用は困難なものだったと語った。

「避難バスに乗るには、事前にアゼルバイジャンの入国ビザを自分で取得しておかなければならないということでした。危険なテヘランに戻り、ネットがつながらないなか、自力でビザを取り、バスの出発に間に合うのか。結局1本目のバスに乗る決心はつきませんでした」

アゼルバイジャンのビザを持っていなくても、バスには乗せてくれるとのことだった。だが、ビザがなければアゼルバイジャンに入国できないので、連れていってもらえるのは国境までなのではないか。Aさんは困惑したという。

「国境で下ろされても困ります。運よくアゼルバイジャンのビザが取れて、アゼルバイジャンの首都バクーまで乗せてもらえたとしても、バクーでの滞在費、日本への航空券、すべて自腹です。日本政府はあのとき、邦人救助のために、自衛隊の輸送機2機と120名の自衛隊員をアフリカのジブチに派遣していましたが、結局、避難してきた邦人を乗せることなく帰っていったようです。あれはなんだったのでしょう」

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