◆ロシア兵が死ぬ瞬間
砲兵隊員たちは、4K画質の高倍率ズームの偵察ドローンカメラが捉えた地上のロシア兵たちの動きを追っていた。ここで敵の位置を特定し、ドローン部隊と連携して砲撃するか、ドローンで攻撃するかを決める。

モニター画面に、2人のロシア兵の姿が映った。一人は歩けなくなったのか、もうひとりの兵士が肩を担いでいる。そして重い足取りで、茂みへと進でいった。その様子をじっと黙ってモニター越しに見つめるウクライナ兵たち。皆、厳しい顔つきだ。
ほどなくして、ドローンがロシア兵のいる茂みに爆弾を投下した。爆発とともに煙が上がる。さらに2発目の爆弾が落とされた。画面を通してであっても、人が目の前で殺される瞬間だ。
仲間を担がずにひとりで走って逃げていれば、彼の命だけは助かったかもしれない。おそらく数週間後には、ロシアの家族のもとに「戦死」の通知が届くことだろう。彼らの母親の悲しみを思うと、いたたまれない気持ちになった。



◆「あのときのアフガン人の気持ちがいま分かる」
夕暮れ前、ディミトリ曹長(53)が、狭い台所を忙しそうに動き回っていた。細かく切った豚肉ブロックを炒めるプライパンの火加減をチェックしながら、手際よくキャベツをザクザクと刻んでいく。
上級曹長の階級章をつけているのに、ひとりで全員分の食事を作っているのですか、と聞くと、「いつもの調理担当兵が今日は補給任務で出払ってる。こんな日は、俺がみんなのために腕を振るうんだ」と笑った。


味見するかい、と彼が差し出したのは、果物を煮込んだ飲み物、コンポット。ロシア兵の悲しい瞬間を見て動揺していた心を、温かいコンポットが少し落ち着かせてくれた。
部隊に入る前は、建設業だったディミトリ曹長。彼にとって、戦争は2度目なのだという。
「若いころ、末端のソ連兵としてアフガニスタンで戦った。そこでも調理してたんだ。いまロシア軍との戦いでまた料理を作ってるのは、皮肉なもんだ。まさか人生で2度目の戦争を経験するなんて、思ってもみなかったよ」


かつてのアフガニスタンと、いまのロシア軍との戦いはどう違いますか。そう問いかけると、彼は、うーんと少し唸って、こう答えた。
「アフガニスタンでの戦争は、俺たちの戦争ではなかった。自分は上官の命令のままに前線に送り込まれたソ連兵のひとりで、戦いの意味なんて考えなかった。だけどこのロシアとの戦争は、故郷を守る自分たちの戦いだ。今になって、あのときのアフガニスタン人の気持ちが分かる。彼らは故郷を守るために戦ってたんだ」
この地域はロシア軍の自爆ドローンが飛来する圏内だ。ドローンは、日が落ちて暗くなる時間帯に動きが鈍る。その時を待って、私は部隊に同行し、さらに前線の砲撃拠点へと向かった。

※取材時から少し時間が経過しての掲載ですが、部隊配置などの情報を考慮して時間差が出ています。また任務中の兵士はフルネームが出せない場合があり、兵士のコールサイン(ポズブノイ)名で表記することがあります。










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