北朝鮮の電気機関車。停電のせいで遅延、運休が頻繁だ。2025年9月に両江道恵山市を中国側より撮影(アジアプレス)

5~6月に両江道(リャンガンド)と咸鏡北道(ハムギョンブクト)の4都市で実施した大規模価格調査。連載の6回目は電気、水道や交通機関、医療費などの公共料金について報告する。公共サービスはいずれも利用者負担が原則になっており、かつて体制の優越性宣伝の目玉であった「無償医療制」は、有償に転換されていることが確認できた。(洪麻里/カン・ジウォン

◆追加料金納付で電気1日6時間

水道光熱費の調査結果は下記の通りだ。

電気の基本料金は各地均一で月650ウォンだった。しかし、調査地における一般住民向けの「住民線」は1日に2~2.5時間ほどしか電気供給がなかった。より長時間電気を使用したい世帯は、月2万5000~3万ウォンを支払えば1日平均6時間程度の追加供給が保証されるという。
※産業施設の向けの電力供給は「工業線」と呼ばれ、今回の調査地の場合、年初から1日10時間程度が供給されていた。「工業線」優先のために住民が我慢を強いられている構図だ。

追加で電気を使用する場合は積算計を設置し、人民班長が集計して配電部(電力工業省傘下の地方機関)に使用者が決済カードもしくは現金で納付する仕組みだ。

日が落ちるとアパート街は漆黒の闇に沈んだ。2024年10月に咸鏡北道穏城郡を中国側から撮影(アジアプレス)

水道は一律基本料金で月500ウォンだった。通常、一般アパートでは水圧の問題で2~3階までしか水が出ないが、水道が使えなくても払う義務があるという。
※北朝鮮1000ウォンは約2.4円(2026年8月28日時点)

◆家電製品は持っているだけで基本料金

電気料金について細かく見ていこう。家電製品は所持しているだけで、種類別に月々の基本料金が課される。さらに、使用量に応じた料金が追加で発生するという。

テレビ、アイロンは一般家庭にも相当に普及しているが、冷蔵庫、エアコンは富裕層のみ、洗濯機はさらに限られたごく一部の世帯だけが所有しているそうだ。ちなみに両江道に住む協力者の自宅には、テレビ、小型冷蔵庫、DVDプレイヤー、扇風機、パソコンがあるという。

★新着記事