(参考写真)吉林省長白県と両江道恵山市の税関。2025年9月、中国側から撮影(アジアプレス)

中国が、北朝鮮から国連安保理の制裁対象である鉱物や水産物資源の輸入を再開する兆候が出ている。北朝鮮の両江道(リャンガンド)からは、量は多くないものの、すでに初夏から銅鉱石が度々中国に輸出されている模様だ。また北朝鮮国内では、中国が11月から制裁対象品目の輸入に踏み切るという情報が広がっており、貿易会社が輸出の準備を進めているという。中国はすでに制裁違反である車両の公式輸出に踏み切っている。10月中旬に北部地域の複数の協力者が報告してきた。(洪麻里/カン・ジウォン)

◆「含量検査名目で3~5トン程度ずつ輸出されている」

アジアプレスは10月15日の記事で、中国が制裁違反である車両を税関を通じて「公式」に輸出していることを報じた。それにとどまらず、北朝鮮からの鉱物輸出も11月から始まる見通しだと両江道の複数の協力者が10月中旬に伝えてきた。

これまでもモリブテン、タングステンなどの非制裁対象の鉱物資源の輸出は続いていたが、6月末から制裁対象の銅精鉱の輸出が試験的に始まっているという。

「銅精鉱は最近まで『国家密輸』で中国に出ていたが、今は(1回に)3~5トン程度と多くはないが、税関を通じて輸出されている。含量検査や成分分析を名目とした試験的な輸出だそうだ。逆に中国の取り締まりが厳格になって密輸は完全に止まっている」(両江道A氏)

北朝鮮最大の鉄鉱山である茂山鉱山。2012年3月、中国側から南正学撮影(アジアプレス)

◆11月から輸出本格化の可能性 「中国実務団が鉱山に常駐」

こうした中国による「制裁違反」の資源輸入が11月から本格化するという期待が、北朝鮮国内で拡散しているという。

A氏は「11月には鉱物関連の輸出が全て解禁になるらしいという情報がある。貿易会社は恵山銅鉱山と販売権の事前交渉もしている。元々は、恵山銅鉱山が単独で中国と取引していたが、現在は対外経済省から許可を受けた貿易会社が取引条件や価格について中国と協議を行っている」と話す。

両江道の別の協力者B氏も「貿易会社は銅や鉱物を継続的に集めており、(輸出再開が)決定さえされれば、すぐに出せるよう準備を進めている」と伝える。

また、北朝鮮最大の鉄鉱山がある咸鏡北道(ハムギョンブクト)茂山(ムサン)郡の協力者C氏は、より詳細な情報を報告してきた。

「11月から中国への鉱物輸出が本格的に始まると見ている。今、中国からは実務団が常駐で派遣され、周期的に現地視察をしに来る人もいる。また、中国企業の投資担当者が毎週訪問し、茂山鉱山の貿易実務代表団と鉱山施設を視察している。その中には、鉱山に必要な施設、運搬車両、設備、資材などを供給したり投資したりする中国企業の担当者もいるそうだ」
2017年に国連安保理の制裁が強化される前年、中国への輸出額5位は「鉄鉱石および精鉱」で、その額は約6450万ドルだった。輸出停止後は、茂山鉱山の稼働は著しく低下し、従業員への食糧供給も悪化していた。そのため、茂山では鉄鉱石輸出再開への期待が非常に高いという。

両江道と咸鏡北道の協力者の話を総合すると、中国側は銅にせよ鉄にせよ、鉱石ではなく、含有率を高めた精鉱を送るよう求めているようだ。そうすることで制裁違反を回避できるという判断があるようだと協力者たちは伝える。

★新着記事