[柳本通彦] 台湾海峡天氣晴朗なれど No67

「台風」
今年最強の台風が台湾本島北部に上陸した。今晩(9/28)、台北市の上空を通過するという。午後五時半現在、市内は猛烈な雨と風が吹き付けている。
東部の宜蘭県・花蓮県、さらに先の台風で大きな被害を被った中部南投県の山間部では、厳戒態勢がひかれている。台湾高速鉄道は午後から全線で営業を停止している状態だ。

前号で、陳水扁総統夫人の呉淑珍が出廷するかもしれないと書いたが、結局彼女は病気を理由に出 廷しなかった。これで17回連続、裁判所からの呼び出しに応じず、弁明を拒否している。

弁護士が、簡単な記者会見を開いたが、すべて福建語で通していた。半数近い国民がわからない言葉で押し通す姿に、彼らの居直りを感じた。

居直りといえば、陳水扁前総統自身が猛然たる反攻に出ている。中南部で支持者の集会を開いたのである。妻が出廷して、植物人間になったら誰が責任をとってくれるのか、自分が収監されたら、2012年の総統選に出て馬英九と戦うともいう。少々不穏異様な雰囲気を感じる。

再び陳水扁宅やその事務所の家宅捜索がおこなわれて、多くの資料が押収されたが、そのなかに、持ち出しもコピーも禁じられている総統府の機密資料が含まれていたことが、話題になっている。陳一家の不正蓄財の問題は、単なる「カネ」の問題では終わりそうにない。

中国の毒ミルク問題は、当然ながら日本のそれよりいっそう深刻である。輸入されている量も、利用されている範囲も野放図に大きい。家庭で使っているインスタントコーヒー、喫茶店のミルク、スーパーのパンや菓子、ピザ店のチーズなど、食べるものがなくなるほど。

台湾人の中国への不信がつのり、親中国政策を進める馬英九総統にとって思わぬ落とし穴となっている。
先の台風で大きな被害を出したことも、支持率を下げた。今日の台風で人災が繰り返されるようだと、政権が追い詰められる可能性もある。

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