4月13日に東京・渋谷で開かれた、ミャンマーの最大野党・国民民主連盟(NLD)党首のアウンサンスーチー氏と在日ミャンマー人との対話集会では、スーチー氏の冒頭演説の後、質疑応答が行われました。その模様を再現、全文を連載します。今回はその2回目。
取材・訳 赤津陽治

在日ミャンマー人の質問に答えるスーチー氏(2013年4月13日 東京・渋谷)

在日ミャンマー人の質問に答えるスーチー氏(2013年4月13日 東京・渋谷)

 

【事前にメモのかたちで集められた質問は、「政治」「経済」「教育」「その他」に分類され、スーチー氏がメモを各分野から無作為に拾い上げ、読みあげて答える形式で進んだ】

質問
スーチーさんの健康のために責任を持って世話する者の人数と態勢について話してください。
(質問の文がわかりづらいものだったため、スーチー氏は「チャンマーイェ・アトエッ・アーマカン(健康のための保証)」を「チャンマーイェ・アーマカン(健康保険)」と解して、回答)

ASSK(アウンサンスーチー氏、以下、ASSK)
健康保険制度のことを言っているのかしら?
私たちの国で病院や医師を確保することは、本当に大変なことです。

病院の医師を確保できるように、皆さんにご助力いただきたいです。要するにお金がほしいのです。お金がほしいというのは...地方の病院に医師がいない原因のひとつは、医師用の住居がないからです。住居がないので自分で借りなければならず大変です。家賃がとても高く、見合った家にも住めません。

だから、医師は(地方へ)行きたがらないのです。医療従事者は行きたがらないのです。そうした点について、私たちの国の皆さんにはさまざまな面で力になっていただきたいのです。私たちは、医療従事者が住める住居を建ててあげなければなりません。そうすれば地方にも行ってくれるはずです。

もうひとつ不足しているのは、基本的な薬品です。私たちの国民のために、基本的な薬品を無料もしくは廉価で流通させる必要があります。そのふたつができれば、国民の保健医療状況は大幅に改善されるでしょう。そのために力になってください。

健康保険制度というのは、私たちの国民にはまだ無理です。健康保険制度という大事業は、どこかから収入がないとできません。無料ではできません。お金もなく収入もなしに、こうした大事業はできません。他の国には、民間の保険会社があります。それは、私たちの国の多くの人々にとって、できるようなものではありません。多くの人々のための健康保険制度をまず考える必要があります。

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