制圧直後は市民に危害は加えなかったIS
ところが、意外なことに、当初、ISは市民に寛容な姿勢を見せました。「住民に対する攻撃的な事態は起きていない」と近所の人から電話で聞いた私は、一週間後にモスルへ戻りました。一度町から逃げ出したキリスト教徒も一部戻ったほどです。しかし、1か月を過ぎたぐらいから、ISは急に態度を変えます。キリスト教徒やシーア派住民を追い出し、家や車、財産を奪いました。そして事態はどんどん悪い方向に進んでいきます。(つづく)

モスル制圧時、ISを歓迎する市民も一部にいた。当初ISも市民に対しては温厚な態度をとったが、のちにキリスト教徒追放や厳格なイスラム法を布告し、社会統制を強めていく。(モスル制圧時のIS映像)

多くの住民は武装集団がイラク軍に打ち勝ち、モスルの統治を実際に始めるとは思っていなかったという。ISによるモスル支配は2年半以上におよぶことになる。(2015年・IS写真)

第2回 >>>

(9終) IS去ったモスルのこれから(写真9枚)
(8) 当初、ISを受け入れたモスル住民も~「気づいたときは遅かった」(写真12枚)
(7) IS支配下での礼拝とモスク(写真8枚)
(6)「モスル解放」のなかであいつぐ報復(写真11枚)
(5) 衛星テレビ視聴禁止布告~住民統制強まる(写真14枚)
(4) 学校での洗脳恐れ、通学やめさせた家庭も(写真9枚)
(3) 宗教警察が社会統制(写真10枚)
(2)シーア派やキリスト教徒住民への迫害(写真7枚)
(1)たった数日間の戦闘で町のすべてを支配(写真7枚)

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